#細うで繁盛記
大阪生まれの加代が、伊豆・熱川温泉の老舗旅館「山水館」の元に嫁ぎ、旅館を盛り立てていく物語。
大阪の料亭南地楼の孫娘加代は「こいさん」と呼ばれ、その時々に祖母ゆうから大阪商人の心構えを聞かされていた。そして、若い板前清さんにほのかな恋心をいだいていた。しかし、終戦後南地楼は没落し、加代は騙されるようにして伊豆熱川の小さな旅館山水館の正吾の元に嫁ぐ。熱川の旅館は伝統的な営業方針を守ろうとする福原屋派と、新しい時代の温泉ホテルへ変わろうとする大西館派に分かれていた。山水館は福原屋についていた。
結婚初夜、夫正吾は戦傷のため男としての努めを果たせない身体であることが分かる。加代は山水館をもり立てて大きな旅館にすることを夢見る。復員してきたかつての恋人清二、南地楼の番頭の善三、仲居のお多福が加代の元に次々に集まってきた。しかし、伝統的な商売を続けていこうとする義父、正吾、正子はことごとく加代の夢の実現の邪魔をする。ただ一人、義妹の春江だけが加代の味方となった。戦後の復興期の中で徐々に温泉地への客が増え始めていた。
加代はその商機をのがさず、新しいアイデアと温かい心遣いで徐々に客を増やし続けていく。そして十数年、山水館は熱川でも指折りの大旅館に成長する。加代は夫とは言えない夫である正吾に操をたて(それは山水館の女将の立場を確保するためでもあるが)、恋心を抱く清二とは結ばれようとはしなかった。義妹の春江が清二と結婚したいと申し出た時にそれを許し、正吾の妻、山水館の女将であり続けた。
続編では、加代は正子たちの策略にかかり山水館の経営権を奪われてしまう。失意の加代は、半島の西海岸にある土肥にあてもなく流されてしまう。そこで安楽館の若い主人と知り合い、新しい旅館海花亭を開く。しかし、土肥は金鉱山の採掘に伴い源泉が枯れ温泉地として危機に瀕していた。加代は俊作を助けて土肥温泉復活のために働いていく。善三たちが山中で見つけた新しい源泉によって土肥温泉は復活した。
次に客を運ぶためにバスを確保するように運動を続けた。一方熱川では、義妹春江と清二らの働きによって再び山水館の経営権は取り戻されていた。しかし、春江は清二の子供を産んだ後、亡くなってしまう。その後加代は伊豆の稲取に新しい旅館松船閣を建ててその経営をお多福に任せる。そして山水館をますます大きく発展させていく。Wikiより
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